EPISODE 02

バイヤーだった私が世界を守る
アンダーライターになった件

営業部門(海運・造船業界担当)

松本 英敏

転職概要

転職前

電機メーカーのバイヤー(調達部門)

現職

船舶保険の営業

スキル

#貿易知識 #機動力 #粘り強い #度胸 #トーク力 #中国語 #VEリーダー
#火鍋好き #育児パパ #粘り強い #素材好き

異業種転職前

私はかつて、電機メーカーの調達部門でバイヤー業務を行っていました。
世界中のサプライヤーから製品に必要な部材を「最適なコスト・品質・納期」で買ってくる仕事です。
バイヤーの仕事にはとてもやりがいを感じていましたが、海外勤務をきっかけに様々な業界で新しいサービスや技術を開発し世の中を変えていく人や企業に強い刺激を受けました。
 
どうせ人生は一度です。
世界を巡るうち私の心は自然とグローバルな環境で業界の枠にとらわれずに新しいビジネスや技術に挑戦する会社を後押しする仕事に携わりたいと思うようになったのです。
 
異業種転職をする前から、保険は業界の枠にとらわれずにお客様のリスクに合わせてベストな保険商品を作りこんでいけるところが面白そうでした。
バイヤーの仕事は狭く深く突き詰めていくスペシャリストな仕事だったのに対して、保険はあらゆる業界のリスクに対して「お客様起点で、お客様に合わせてものごとを考えていくことができる。」そんな仕事に強い共感を覚えました。こんな業界で仕事ができたら楽しいだろうなと……。

転職初日

実際に異業種転職をして仕事内容を学んでみると、世界を襲うあらゆるリスクからお客様を守る…責任は重大ですし、冗談なんか許されない組織なんじゃないかと最初は思いました。
しかし、社内の人と話してその印象はガラッと変わりました。良い意味で人間味があり、気さくで肩肘張ってない、そんな組織だということが分かりました。ただ同時に気が付きました。皆さんの胸の奥には情熱と真剣みがあるということ。
最前線で世界を守り続けてきた保険のプロフェッショナルたちが、世界中に安全を届けようとする生き生きとした姿が思い浮かび、とても印象的だったのです。
 
晴れて異業種転職したあと、私の配属された部署は驚くべきものでした。
それは、海運・造船業界の保険営業。
海運ビジネスのお客様をリスクから守り抜くために最適な保険を提供する仕事です。
東京海上日動はその名の通り海上保険を成り立ちとした会社ですから、組織の中でもっとも伝統的な部署での仕事を任されたということです。お客様は海運業界のプロフェッショナル。海運ビジネスに対する深い知識と理解が求められる仕事です。
 
今までバイヤーだった私にとって、海運・造船業界の安心安全を守る仕事はまるで異なる刺激的な世界でした。これまで東京海上日動に調達の仕事(バイヤー)をやっていた人間は一人もいなかったと思いますが、保険業界未経験の人間でも適性があると判断すれば営業第一線に配属を試みてくれる組織の柔軟さを感じました。

転職後の世界の変化

東京海上日動は想像以上に個人に裁量を与えてくれる場所でした。そうでなければ世界など守れないのかもしれません。お金はもちろん、命すら預かるかもしれない仕事ですから、その分プレッシャーもあります。
ただ、やりがいのある職場で過ごす日々に、自分が異業種転職をした理由はこれなんだろうなと感じました。こういう仕事がしたいとか、こういうことにチャレンジしてみたいという意思があれば、挑戦させてくれる環境と協力してくれる仲間が揃っていると感じます。
 
裏腹に船舶についてはまっさらな状態からのスタートとなりました。活躍するための場所は与えてもらえたのですから、あとは私自身の頑張りにかかっています。
ただ、最初は何もわかりません。
海運業界をリスクから守る…とは一口にいっても、船舶の専門用語に全くついていけず、なにを喋ったらいいかわからないところから営業を始めました。
 
まずは船舶の知識を付けるために関連書籍を読み漁りました。
お客様のところに通って勉強させてもらうこともありました。
保険には、「アンダーライティング」という、お客様の事業に対して保険引受可否の判断やどういった引受条件・保険金額・保険料率で補償するのが妥当か決める業務があり、船舶保険では営業第一線の担当者がそのプロセスの一翼を担っています。
アンダーライターという役割を果たすには、引受対象である船舶に精通していなければいけませんし、海運業界のプロであるお客様の厳しい要求にも答えなくてはならない。紋切り型の営業をするのではなく、引受対象である船と、船舶保険についても深い理解があって、初めて適切な提案ができるようになるのです。
 
分からないことだらけでしたが、嫌な気持ちにはなりませんでした。
自分で引受条件を考え最適なカバーをお客様に提供していく作業が、とても楽しかったからだと思います。

私のスキルが活きた瞬間

分からないことばかりから始まった私ではありますが、異業種から来たからこそ他の人にはない強みを持っていました。
それは、前職で「買う側」にいた経験です。
同じ営業でも、買い手側の立場で考えることを真似できる人は少ないと思いますし、バイヤーとして世界中から素材を調達していたので、海上輸送される石油や鉄に関する知識がありました。
そのスキルに気がつき始めたとき、世界をリスクから守る東京海上日動が、なぜ私にこの業務を任せてくれたのかが理解できました。
 
人と人との信頼関係の重要性はバイヤー時代から変わっていないと思います。
直近では、十数隻の船舶を運行する有力海運会社の船舶保険を東京海上日動に全面切り替えしてもらう大仕事に挑みました。入念に考えたシナリオのもと、丸一年かけて船舶保険に関するレクチャー、海難事故発生時には損害サービスチームと協力してホスピタリティ溢れる対応でお客様をサポートしていきました。着実にお客様とも距離が縮まっているのを実感していました。
しかし、迎えた契約の局面、保険のプロとして精緻にアンダーライティングを行い、商品部と議論を重ねて提示した引受条件は、保険料で他社より劣後するものでした。それでも、お客様との信頼関係を信じ、覚悟を決めて挑んだ社長との商談では、適切な保険料が中長期でお客様をお守りする事について時間をかけて説明を尽くしました。心が折れかけたそのとき、社長が最後に一言、「良く分かった。東京海上日動に任せる」と当社を選んでくれました。
 
確かにリスクから世界を守ると言っても、営利組織ではあります。
しかし、単に儲けたい、成功したいだけでは語り切れません。文字通り、災難にあった人々を救う仕事でもあるはずです。私たち東京海上日動が世の中や社会に貢献していることは間違いなく断言できます。
 
相手とのWin-Winの関係を構築しながら、今日もこの世界を守り続けます。